銀行員を辞めたいと思うことは、甘えではありません。
私は地方銀行に10年以上勤め、一度辞めたあと、再び銀行に戻りました。
この記事ではその経験も踏まえて、「辞めたい」と感じる理由を整理し、辞めるか残るかを決める前に確認したい3つのことを紹介します。
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「甘えかもしれない」と考えてしまう理由
周りは普通に働いているのに、辞めたいと思う自分がおかしいのかな。
「辞めたい」と思っていても、何がつらいのかを自分でうまく説明できないことがあります。
理由がはっきりしないまま、当たり前のように働き続けている同期や上司と自分を比べると、「自分の我慢が足りないだけではないか」と考えてしまうことがあります。
そこで出てくるのが、「甘えなのではないか」という自己評価です。
うまく説明できないからといって、その気持ちを否定したり、「自分の性格の問題だ」と決めつけたりする必要はありません。
まず必要なのは、判断するための材料を増やすことです。
一ヶ月分の利息を見た日
銀行員時代、画面に一ヶ月分の融資金利の合計が表示されているのを見ました。
その金額は、自分の昼食代にも届いていませんでした。
全身の血の気が引きました。積み上げてきた仕事の対価がこれだけなのか、と感じました。
あのとき私が実感したのは、積み上げた仕事と、そこから返ってくるものの隔たりでした。
これは、あくまで私の場合です。
あなたの「辞めたい」が同じところから来ているとは限りません。数字の追い方かもしれないし、人との距離かもしれない。転勤かもしれないし、このまま働き続けた先に不安を感じているのかもしれません。
この経験をいま振り返って思うのは、「辞めたい」という気持ちを甘えかどうかで考え続けるより、自分が何に違和感を持っているのかを具体的な言葉にした方が、次の判断につながるということです。
「銀行を辞めたい」を切り分けて考える
甘えかどうかを考え続けても、「では何を変えればいいのか」は見えてきません。

そこで先にやってみてほしいのが、いま使っている言葉を、もう少し具体的な言葉に置き換えることです。
| いま出てくる言葉 | 置き換えてみる |
|---|---|
| 銀行が嫌だ | 数字の追い方なのか、評価のされ方なのか、仕事の中身なのか |
| 人間関係がしんどい | 特定の相手なのか、距離の近さそのものなのか |
| 将来が不安だ | 自分の給料なのか、業界の先行きなのか、10年後の選択肢なのか |
| もう限界だ | 体が限界なのか、この働き方が続くと思えないのか |
言葉を具体的にすると、取れる対応も変わります。
特定の相手との関係がつらいのか、職場の距離感そのものが合わないのかでも、考えるべき選択肢は変わります。数字の追い方が合わないのか、銀行という組織そのものが合わないのかでも、次に確認することは変わります。
置き換えるための、具体的なやり方
頭の中だけで整理しにくければ、紙やスマホに書き出してみてください。
この1か月ほどで、「嫌だな」と感じた場面を3つ思い出してみてください。それぞれについて、「いつ」「何があったとき」なのかを書き出します。
たとえば、次のように書き出します。
- 月末に進捗を詰められたとき
- 顧客にとっての最適と、求められる数字がずれたとき
- 異動や転勤の話が出たとき
3つ並べたとき、共通しているものがあれば、それを一度言葉にしてみてください。
共通点が見つからなければ、無理に一つの原因へまとめる必要はありません。「まだ切り分けられていない」と分かるだけでも、次に確認することは変わります。
ここまで分けて考えると、次に見るべきポイントも整理しやすくなります。
外に出て、年収ダウンはじわじわ実感に変わりました
私は実際に、一度銀行を離れました。
年収ダウンは、日々の生活の中でじわじわ実感に変わっていきました。ボディブローのように、あとから実感が重くなっていく感覚でした。
ここで大切なのは、私の年収がいくら下がったかではありません。年収が下がったとき、生活のどこに影響が出るのかを具体的に考えておくことです。
年収が変わるときの確認項目
- 固定費
- 将来のための積み立て
- 日常の楽しみに使うお金
そこまで具体的に見えていれば、どの程度の条件までなら受け入れられるのかも考えやすくなります。
負担は消えませんでした。種類が変わっただけです
もう一つ、外に出て分かったことがあります。
負担の量は、変わりませんでした。変わったのは種類です。
銀行で私が感じた負担
- 外からかかってくる圧力
自治体で私が感じた負担
- 内向きの摩擦
銀行では、身体を壊しそうになるような外からの圧力を感じていました。自治体では、精神がじわじわ削られるような内向きの摩擦を感じました。
逃げ場は、どちらにもありませんでした。
これは私が感じたことです。銀行がこう、公務員がこうと決まっているわけではありません。部署でも時期でも、負担の出方は変わります。
環境を変えればすべて楽になると決めて動くより、何が変わりそうで、何が残りそうかを先に考えておいた方がいいと思っています。
私は一度出て、戻ってきました
私はいま、また銀行にいます。
自治体での経験から、銀行の仕事にそのまま使える実務スキルを持ち帰ったかというと、そういう実感はありません。
変わったのは、仕事への向き合い方でした
以前の私は、組織に対してどこか腐ったような気持ちを抱えていて、指示されること自体にいつも苛立っていました。
外に出てみると、組織で働く以上、不満がまったくなくなるわけではないと実感しました。そのうえで、仕事の時間は目の前の仕事に取り組もうと思うようになりました。
苛立ちは、以前より減りました。
これは私に起きたことです。外に出れば誰でもこうなるという話ではありませんし、戻ることを勧めているわけでもありません。
辞めるか残るかを決める前に確認する3つのこと
ここから先は、私の経験から言える判断材料です。
確認する順番
- 1違和感の中身
- 2年収と生活
- 3時間とお金
1. 何に違和感があるのか
先ほどの置き換えを、自分の言葉でやってみることです。
「銀行が嫌だ」のままだと、転職先を比べる基準も曖昧なままです。
原因が違えば、確認することも変わります。今の職場で変えられることなのか、銀行を離れないと変わらないことなのか。そこまで具体化すると、辞める以外の選択肢も含めて考えやすくなります。
2. 年収が変わったとき、生活のどこに影響が出るのか
年収が変わった場合に、生活のどこへ影響が出るのかを考えておくことです。
先ほど挙げた項目を、自分の家計に当てはめてみてください。数字だけでは分かりにくくても、生活に当てはめると影響は具体的になります。書き出してあれば、求人を見たときに「この条件なら受け入れられる」という線を自分で引けます。
3. 時間とお金、どちらを先に取るのか
どちらも欲しいのは当然です。
ただ、求人を見るときは、年収を優先するのか、働く時間を優先するのかで候補が変わります。どちらを先に取りたいのか、自分なりの順番を決めておくと比較しやすくなります。
もう一つ、実際に外を見なければ分からないことがあります。今の経歴で、銀行の外にどんな選択肢があるのかです。
これは、外の求人を見たり、実際に話を聞いたりしないと具体的には見えてきません。
いきなり辞める必要はありません。選択肢を具体的に確認したうえで、辞めるか残るかを考えることもできます。
決めるのは、確かめたあとで構いません。
まとめ
「自分は甘えているのか」と考え続けても、辞めるか残るかの判断材料は増えません。
私の場合は、一ヶ月分の利息を見た日に、積み上げた仕事と返ってくるものの隔たりを実感しました。あなたの場合は、別のところから来ているかもしれません。何に違和感を持っているのかを言葉にできれば、次に何を確かめればいいのかが見えてきます。
そして私自身は、転職しても負担がゼロにはなりませんでした。変わったのは種類です。年収ダウンは、生活の中でじわじわ実感に変わっていきました。
銀行に残るなら、道具として使い切る。外に出るなら、何が変わって何が変わらないかを知ったうえで出る。
まずは、辞めるか残るかを自分で判断できる状態に戻すことからです。


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