公務員の種類と違い|銀行員向けに国家・県庁・市役所・特別区を整理

銀行員から公務員へ転職

公務員といっても、ひとつの働き方だけを指すわけではありません。

国家公務員、地方公務員、県庁、市役所、特別区。さらに、国家総合職、国家一般職、専門職、経験者採用など、受験区分も分かれます。

銀行員から公務員を目指す場合、最初に整理すべきなのは「自分に向いている公務員はどれか」ではなく、どの分類で受けるのかです。

この記事の要点

  • 公務員の種類は、まず「国家公務員」と「地方公務員」に分けて見る
  • 銀行員は「一般枠か、経験者採用枠か」を早めに確認する
  • 県庁・市役所・特別区は上下ではなく、役割と仕組みが違う

この記事では、公務員の種類を「受験先を選ぶための地図」として整理します。

向き不向きの深掘りは別記事に譲り、ここでは公務員の分類を短く正確に見ていきます。

公務員の種類は、まず「国家公務員」と「地方公務員」に分かれる

公務員の種類を整理するときは、まず大きく2つに分けると分かりやすいです。

ひとつは、国の機関で働く国家公務員。もうひとつは、都道府県や市町村などの地方公共団体で働く地方公務員です。

国家公務員には、総合職、一般職、専門職、経験者採用などの区分があります。地方公務員には、都道府県、市町村、特別区などがあります。

まずは、全体像を表で整理します。

大分類 主な区分 代表的な受験先 銀行員が確認すべき点
国家公務員 総合職 中央省庁など 政策立案寄り。採用難度・キャリアパスの確認が必要
国家公務員 一般職 本府省・出先機関など 政策実行・制度運用寄り。地域ブロックや官庁訪問も確認
国家公務員 専門職 国税専門官・財務専門官など 金融経験との接続を考えやすい職種もある
国家公務員 経験者採用 各府省など 民間経験を活かす採用枠。銀行員も確認すべき
地方公務員 都道府県 県庁・出先機関など 広域行政、市町村との連絡調整など
地方公務員 市町村 市役所・町村役場など 住民に近い生活実務が中心
地方公務員 特別区 東京23区 基礎自治体だが、都区制度の特殊性がある

銀行員から公務員を目指す場合、「公務員になりたい」という大きな言葉だけでは、受験先を選べません。

国家公務員を受けるのか、地方公務員を受けるのか。一般枠なのか、経験者採用枠なのか。県庁なのか、市役所なのか、特別区なのか。

この分類が曖昧なままだと、志望動機も面接対策もぼやけます。

運営者メモ

私自身も、公務員の仕事を外から見ていたときは、目立つ施策や地域貢献の部分ばかりを見ていました。ただ実際には、住民対応、申請処理、施設や道路の維持など、一見地味でも生活を支える仕事が多くあります。公務員の種類を知ることは、その現実を見る入口でもあります。

国家公務員は「総合職・一般職・専門職・経験者採用」で見る

国家公務員を考えるときは、まず採用区分を分けて見ます。

国家総合職は、政策の企画立案や調査研究に関わる区分です。中央省庁で政策そのものに関わるイメージが強く、採用難度やキャリアパスも含めて、他の区分とは分けて考える必要があります。

国家一般職は、政策の実行やフォローアップなどに関わる区分です。本府省で働く場合もあれば、地方の出先機関で働く場合もあります。

専門職は、特定の行政分野に関わる区分です。国税専門官、財務専門官、労働基準監督官などが代表例で、銀行員にとっては金融知識や事業者対応の経験との接続を考えやすい職種もあります。

そして、銀行員が必ず確認したいのが経験者採用です。

国家公務員にも、民間企業等での経験を持つ人を対象にした経験者採用試験があります。国家公務員というと、新卒や若手だけの選択肢に見えますが、社会人経験を前提にした入口もあります。

参考

国家総合職と国家一般職は「役割が違うだけ」と軽く整理しない方が安全です。役割、採用難度、キャリアパス、転勤範囲などが変わるため、受験する場合は採用区分ごとに確認する必要があります。

銀行員が国家公務員を考えるなら、「国家公務員」と一括りにせず、総合職・一般職・専門職・経験者採用を分けて見ることが大切です。

地方公務員は「都道府県・市町村・特別区」で見る

地方公務員を考えるときは、都道府県、市町村、特別区の違いを押さえます。

都道府県は、広域にわたる事務、市町村との連絡調整、規模や性質から市町村だけでは処理しにくい事務を担います。産業振興、防災、医療、福祉、インフラ、市町村支援など、広い範囲の行政に関わります。

市町村は、住民に近い基礎的な地方公共団体です。住民票、税、福祉、子育て、施設管理、地域対応など、生活に直結する仕事が中心になります。

特別区は、東京23区を指します。法令上は特別地方公共団体ですが、基礎的な地方公共団体としての位置づけも持っています。

類型 位置づけ 役割の重心
都道府県 広域の地方公共団体 広域行政・市町村との連絡調整
市町村 基礎的な地方公共団体 住民に近い生活実務
特別区 特別地方公共団体かつ基礎的な地方公共団体 住民に近い行政+都区制度の特殊性

ここで大切なのは、県庁が上、市役所が下、という見方をしないことです。

都道府県は広域行政、市町村は住民に近い行政。役割が違うだけです。

銀行員から見ると、市町村の方が顧客対応に近いように見えるかもしれません。ただし、市役所を「銀行より楽そう」とだけ見るのは危険です。

市役所には、市役所特有の仕事内容やミスマッチがあります。具体的に市役所を考える場合は、別記事で整理しています。

あわせて読みたい

銀行員から市役所に転職するのはあり?仕事内容とミスマッチを整理

市役所の仕事内容や、銀行員が感じやすいギャップを詳しく整理しています。

特別区についても、「東京の市役所」とだけ覚えると不十分です。

特別区は東京23区の基礎自治体として住民に近い行政を担う一方、都区制度の中で都との役割分担や財政調整を前提に動く自治体です。上下水道や消防など一部の事務を都が処理する点や、都区財政調整制度がある点は、普通の市町村との大きな違いです。

参考

特別区を受ける場合は、「東京で働きたい」だけでは志望動機が浅くなりやすいです。普通の市町村との違い、都区制度の特殊性、特別区が担う住民に近い行政を整理しておく必要があります。

銀行員が受験先を選ぶ前に見るべき3つの軸

公務員の種類は3軸で見る|国家公務員か地方公務員か、一般枠か経験者採用枠か、基礎自治体か広域自治体かを整理した図解
公務員の種類は「国家か地方か」「一般枠か経験者採用枠か」「基礎自治体か広域自治体か」の3軸で整理できます。

公務員の種類を整理するとき、銀行員が見るべきなのは「どれが上か」ではありません。

見るべきなのは、どの分類で受けるかです。

受験先を整理する3ステップ

  1. 国家公務員か、地方公務員かを確認する
  2. 一般枠か、経験者採用枠かを確認する
  3. 基礎自治体か、広域自治体かを整理する

軸1:国家公務員か、地方公務員か

国家公務員は、国の機関で働きます。府省や出先機関によって仕事の内容は変わり、転勤範囲や勤務先も確認が必要です。

地方公務員は、都道府県、市町村、特別区などで働きます。採用された自治体内での異動が中心になることが多く、生活基盤との相性も見やすくなります。

軸2:一般枠か、経験者採用枠か

一般枠は、筆記試験の比重が大きい場合があります。一方、経験者採用枠は、民間企業での職務経験を前提にした採用区分です。

銀行員の場合、経験者採用枠が現実的な入口になることがあります。ただし、すべての自治体や府省にあるわけではなく、年齢要件や試験内容も年度によって変わります。

社会人経験者枠の準備順は、別記事で詳しく整理しています。

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公務員の社会人経験者枠は何から準備する?

銀行員向けに、筆記・論文・面接の準備順を整理しています。

軸3:基礎自治体か、広域自治体か

基礎自治体は、市町村や特別区のように、住民に近い行政を担います。生活に近い実務、住民対応、地域課題への対応が中心になります。

広域自治体は、都道府県のように、市町村をまたぐ行政や、国・市町村・関係団体との連絡調整に関わります。

ここで重要なのは、どちらが良いかではありません。住民に近い仕事をしたいのか、広域的な調整に関わりたいのか。自分が公務員として何に関わりたいのかを分けて考えることです。

確認項目 見るポイント
国家か地方か 転勤範囲、勤務場所、生活基盤への影響
一般枠か経験者採用枠か 年齢要件、職務経験要件、筆記試験の内容
基礎自治体か広域自治体か 住民に近い実務か、広域調整か
論文・面接の有無 職務経験論文、課題論文、自治体理解、経験の活かし方
配属・異動の範囲 本庁、出先機関、窓口、企画、産業振興など

この表は、受験先を決める前の整理メモです。

ここで「どの公務員が向いているか」まで決める必要はありません。まずは、自分がどの分類で受験するのかを整理することが先です。

向き不向きまで考えたい場合は、別記事で詳しく整理しています。

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銀行員と公務員はどっちが向いている?

分類を理解したあとに、自分の適性を整理したい方はこちらで詳しく整理しています。

公務員の種類は、受験先を選ぶための地図として使う

公務員の種類は、肩書きで覚えるよりも、受験先を選ぶための地図として使う方が分かりやすいです。

国家公務員か、地方公務員か。一般枠か、経験者採用枠か。基礎自治体か、広域自治体か。

この3つを分けて見ると、自分が確認すべき募集要項、準備すべき試験、考えるべき志望動機が見えやすくなります。

公務員の種類を知ることは、転職判断のゴールではありません。むしろ、ここからが始まりです。

自分がどの働き方に合うのかを考えるなら、適性の違いを整理する必要があります。市役所を受けたいなら、市役所の仕事内容とミスマッチを確認する必要があります。社会人経験者枠を受けるなら、筆記・論文・面接の準備順を考える必要があります。

公務員の種類は、結論ではなく入口です。

地図を持ったうえで、自分がどこを歩くかを決める。その判断を他人任せにしないことが、銀行員から公務員を目指すうえで大切です。

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