銀行員と公務員の仕事内容はどう違う?転職して分かった一日と一年

銀行を出た私の、仕事の中身。公務員の一日と一年。庁内で働く様子のドット絵。 銀行員と公務員の比較

営業のない毎日。
では、何をする?

銀行から公務員へ移った私を待っていたのは、資料作成、予算の手続、庁内調整。

窓口に立たない部署の仕事もありました。

何に時間を使い、誰と調整するのか。経験した仕事から比べます。

営業の代わりに、毎日何をしていたか

「市役所の仕事」と聞いて、窓口で住民の方に対応する姿を思い浮かべるかもしれません。

私がいたのは、住民の方と直接向き合う機会が少なく、事業の執行・管理や庁内調整を担う部署でした。

窓口に立たない日も、仕事の相手はいます。

普段は、次の四つを満遍なく進めていました。

01

資料を作る

説明資料や報告書をまとめ、上司や関係者が確認できる形にする。

02

事業の事務を進める

予算、見積、契約、支払。事業を動かすための手続を整える。

03

庁内で確認する

上司に説明し、他部署と打ち合わせる。担当や引き受ける範囲を調整することも。

04

事業者とやり取りする

連絡や打ち合わせをし、進み具合や業務の内容を確認する。

相手の要望と庁内の判断が合わなければ、まず話を聞き、法令や予算、担当範囲を確認します。そのうえで上司や関係部署と方針を決め、相手に対応できる範囲を説明する。

こうした動きも「調整」の中身です。

銀行でも顧客や行内との調整はしていました。自治体で変わったのは相手だけでなく、予算を確保し、事業を進め、執行する一年の流れが仕事の大きな土台になったことです。

営業目標から、予算と事業の一年へ

銀行では営業目標を意識しながら、目の前の融資案件を実行へ進める。自治体では翌年度の事業予算を確保し、契約、実施、支払へ進める。

私が経験した仕事では、追いかけるものと時間の幅が変わりました。

本人の担当案件の比較。銀行は顧客へのヒアリング、行内確認と提案、条件合意と契約、融資実行。自治体の委託事業は前年度の予算確保、翌年度の仕様と見積、審査・入札・契約、実施・完了確認・支払。
私が担当した案件の一例です。図をタップすると拡大できます。

銀行で担当した融資案件――提案から実行まで

担当した融資案件の流れ

  1. 候補先を選び、話を聞く。資金ニーズの仮説を立て、顧客へ事前にヒアリングします。
  2. 銀行内で方向性を確かめる。課長、次長、支店長へ話を上げ、必要に応じて審査部にも相談します。
  3. 顧客へ提案し、条件を詰める。合意を得たら稟議を作り、事務を確認して契約手続へ進みます。
  4. 融資を実行する。顧客の口座に融資金が入るところが、その案件の一区切りでした。

顧客への提案と、銀行内の合意形成を両方進める仕事です。

特に金利や金額は、後から自分の裁量で変えられません。内外で認識がずれないように確認していました。

自治体で事業を進めたとき――予算確保から支払まで

自治体で担当していたのは事業の執行・管理や庁内調整です。次は、その中で扱った業務委託案件の一例です。

事業の中で扱った委託案件の流れ

  1. 前年度に予算を確保する。部署内で案を固め、関係部署との調整、首長の承認を経て、事業予算の議会承認へ進みます。
  2. 翌年度に具体的な内容を詰める。複数の事業者から見積を取り、打ち合わせで金額や仕様書を固めます。
  3. 庁内審査と入札を経て、事業者を決める。契約後、事業者と業務を進めます。
  4. 完了を確認して支払う。庁内で報告し、問題がなければ委託料を支払います。ここまでが一件の流れでした。

議会が承認したのは事業の予算であり、個々の委託契約ではありません。

また、これは私が経験した案件の経路です。すべての自治体の契約がこの順番で進むという意味ではありません。

予算が通れば仕事が終わるわけではなく、そこから具体的な契約と事業の実施が始まる。

銀行で案件ごとの実行日を追っていたころとは、見ている期間が違いました。

まとまった時間は取れる。でも、急な依頼も入る

私の配属先では、銀行時代より一つの仕事にまとまった時間を取りやすくなりました。

資料を作り、予算や契約の事務を進め、必要な相手と確認する。それが普段の動きです。

ただし、突発的な依頼は、庁内からも庁外からも銀行時代より多かったと感じています。上司や他部署からの依頼、住民や議員からの要望など、予定に入れていなかった仕事も届きました。

すぐ対応する用件

予定していた仕事をいったん止め、確認や対応に切り替える。

期限を調整できる用件

いつまでに必要かを確認し、ほかの仕事と順番を組む。

依頼が来れば何でも即対応、というわけではありません。相手や内容に応じて切り替えていました。

まとまった作業時間は取りやすいけれど、朝に決めた予定がそのまま一日の予定になるとは限らない。私の実感には、その両方があります。

複数部署にまたがる案件では、誰がどこまで引き受けるかを決める調整もありました。ただ、常にそうした案件ばかりだったわけではありません。

負担や気疲れの比較は、銀行員と公務員の負担・回復の違いで別に整理しています。

銀行の「当たり前」が、自治体で強みになった

仕事が変わっても、ゼロからの出発ではありませんでした。特に強みになったのは、期日管理、説明・調整、数字を扱う力です。

  • 締切から逆算する。必要な確認と作業を整理し、段取りを組む。
  • 話を整理して伝える。相手の事情を聞き、判断に必要な点を説明する。
  • 数字を確かめる。予算や見積など、金額を扱う場面で銀行経験を使う。

自分では周囲と大きな差を感じるほどで、特に仕事を進める速さや説明・調整では、上司や同僚から評価されることもありました。

銀行にいると当たり前だった進め方が、別の職場では強みになる。そのことに気づきました。

もちろん、法令や条例、予算・契約・支払の手続、庁内で話を通す順番、担当事業の知識は覚え直しました。ただ、私の場合は、その習得自体に特に苦労した感覚はありません。

覚え直すのは、その職場のルール。
持っていけるのは、仕事を進める力。

これは私の経験であり、銀行出身なら誰でも同じ評価になるという話ではありません。それでも「行政の仕事は未経験だから、今の経験は使えない」と考える必要はないと思います。

志望先の仕事を、三つの質問で確かめる

ここで扱った公務員の仕事は、自治体の一般行政職で私が経験した範囲です。窓口での手続、福祉、税、企画など、配属先で仕事内容は変わります。

銀行でも窓口と渉外の仕事が違うように、「一般行政職」という区分だけでは、転職後の一日は分かりません。

一般的な業務の参考:厚生労働省 job tag 銀行等窓口事務/銀行・信用金庫渉外担当/地方公務員(行政事務)。案件の経路や仕事の進め方の比較は、私自身の経験です。

自治体の採用サイトで職員紹介や一日のスケジュールを見るときは、次の三つを探してみてください。

「一般行政職」の先にある、毎日の仕事

  • 何を担当するのか。窓口での申請対応か、事業の企画・実施か、予算や契約の事務か。
  • 誰と確認・調整するのか。住民、事業者、他部署など、どの相手とのやり取りが出てくるか。
  • 何を終えたら一区切りか。申請の処理、事業の実施、支払など、どこまで担当するか。

たとえば「事業者との調整」という紹介なら、相談を受けて終わるのか、契約や実施後の確認まで続くのかを見る。同じ言葉でも、担当する範囲が分かると、自分がしてきた仕事との違いを考えやすくなります。

紹介ページに書かれていなければ、説明会で聞く質問にできます。紹介された部署への配属が約束されるわけではないので、複数の部署を見比べておくと、仕事の幅もつかめます。

仕事が見えたら、次は進む方向を選ぶ

公務員を目指したい

この仕事をしてみたいと思ったら、次は応募できる採用ルートと準備を確認しましょう。

公務員を目指す方向が決まったら、採用ルートと準備の全体像を確認。

民間の転職先も比べたい

銀行以外の選択肢は、公務員だけではありません。民間も比較したい方は、年齢や経歴に応じた選択肢と転職支援サービスを整理した記事へ進んでください。

民間への転職も比較したい方へ。年齢や経歴に応じた選択肢を整理。

まだ進路を絞れない方は、年収や働き方も含めた銀行員と公務員の比較から、判断する軸を整理できます。

仕事内容についてよくある質問

銀行員と公務員では、事務作業はどう違いますか?

銀行では入出金や送金、融資に関する書類などを扱い、自治体の行政事務では住民の手続や事業、予算などを扱います。

「事務が多いか」だけでなく、どの仕事のために書類を作り、誰に確認するのかまで見ると違いが分かります。

銀行での融資経験は、自治体でもそのまま使えますか?

担当業務によります。私の場合は期日管理、説明・調整、数字を扱う力が役立ちました。

自治体の法令や手続は覚え直しましたが、習得自体に特に苦労した感覚はありません。融資の手順をそのまま移すというより、身につけた進め方と、新しく学ぶ実務を分けて考えるとよいと思います。

窓口対応の少ない部署もありますか?

あります。私がいたのは、住民の方と直接向き合う機会が少なく、資料作成や他部署との連携に比重のある部署でした。

ただし、これを自治体全体の働き方として見たり、希望する配属先を確約されたものと考えたりはできません。

銀行員と公務員の仕事内容を比べるなら、職業名から一歩進んで、何を担当し、誰と確かめ、どこまで終える仕事なのかを見る。そこまで分かると、転職後の自分の一日を想像しやすくなります。

運営者

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この記事を書いた人

  • 地方銀行勤務(10年以上)
  • 自治体での実務経験あり
  • 銀行への再就職経験あり

組織は依存先ではなく、自己選択のための道具。

銀行・公務員・出戻りを経験した立場から、煽らず、仕事の中身と判断材料をお伝えしています。

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